こんにちは、grandstreamです。
今回は、書籍「レジリエンス入門-折れない心のつくり方」を読みましたので、その内容をまとめてみたいと思います。
色々と気持ちが鬱々としがちな日々を送っているので、お医者さんに勧められて読んでみた次第です。
レジリエンスとはなにか?
本書の主題となっている「レジリエンス」とは何なのか・・?
引用させていただくと、本書においては以下のように定義されています。
嫌なこと、辛いこと、悲しいことを経験すると私たちの心はへこんだり、途中でくじけそうになったり、落ち込んだりします。そんな嫌な気分をもとの正常な状態に戻す力が「レジリエンス」なのです。(中略)「目の前の逆境やトラブルを乗り越えたり、強いストレスに対処することができる精神力」のことです。
人間誰しも、悲しいこと、大失敗など人生に置いて大きな絶望を味わったり、トラブルに見舞われることがあります。そんなときに気分が落ち込むのは当たり前というか、避けようもありません。
ただ、その状況からいかに回復できるか、立ち直れるかというのは人によって多少差があるわけですね。
本書では、その「レジリエンス」は筋肉のように、鍛えることができると述べられています。
そもそも、何が我々を嫌な気持ちにさせているのか?
嫌なこと、辛い出来事に直面した時、我々はとても落ち込み、嫌な気分になります。
でも、この「嫌な気分」はどこからくるのか?
一般的には、以下のようなネガティブな出来事が我々を不快にさせていると考えられます。
- テストで悪い点をとった
- 友人と喧嘩をした
- 誰かに怒られた
- 犯罪、不景気などのニュース etc.
つまり、「嫌な出来事」→「嫌な気分」と普通は考えるわけですが、筆者はここで疑問を投げかけます。
本当に、我々の気分や感情は「出来事」が作り出しているのか?と。
エリスのABC理論
ここで筆者は「エリスのABC理論」という考え方を取り上げます。
ざっくり言えば、「出来事」→「気分」ではなく、「出来事」→「解釈というフィルター」→「気分」というふうに、何らかの出来事をどう解釈するかというフィルターを通して気分や感情が生まれるというわけです。
同じ出来事に対しても、人によって微妙に受け止め方(フィルター)は異なります。
とはいえ、、ネガティブな出来事に対して、ネガティブな感情が生まれることは大抵の人にとって避けられません。
でも、「解釈というフィルター」は鍛えることができる、つまり、落ち込んだときの立ち直りを早めることができるわけです。
では、もう少し掘り下げてみましょう。
性格を構成する3要素
筆者は性格を「思考」「感情」「行動」の3要素に分けて考えています。そしてこの3要素は連動するといいます。
例えば、悲しい気持ちになったときは、何も手に付きませんし何か行動を起こそうという気力も湧いてきませんよね(感情→行動)。
でも逆に、例えば作り笑いでもいいから笑ってみると、逆に気持ちがすこし軽くなったりします(行動→感情)。
思考も同様に、感情に影響を与えることができます。
このように性格の3要素は連動するため、「思考」あるいは「行動」を変えることで、「感情」に働きかけていくことができるわけですね。
なお、ここで言う「思考」は、先程のエリスのABC理論でいう「解釈というフィルター」に相当します。
レジリエンスを弱めてしまう考え方
さて、ここまで「思考」や「行動」と「感情」は密接につながっていることがわかりました。
筆者は具体的に、どのような「思考」がレジリエンス、精神的な立ち直りを弱めてしまうかを以下の7つのパターンに分けていますので、簡単に見ていきましょう。
- 否定的側面の拡大(肯定的側面の否定)
- 二分化思考(少なすぎる判断基準、勝ち負け思考)
- 「当然」「べき」「ねばならない」思考
- 過剰な一般化
- 結論の飛躍
- 劣等比較
- 他者評価の全面的受け入れ
一つずつ簡単に見ていきます。
① 否定的側面の拡大(肯定的側面の否定)
例えば、職場や学校に苦手な人がいるとします。すると、その人の「悪い部分」ばかりが目についてしまします。でも、本当は「良い部分」もあるはずです。
このように、ある物事の「否定的な側面」が強調されると、精神的に疲弊してしまいます。
どうも人間は「ネガティブな側面に目が行きがち」な生き物のようです。
なので、レジリエンス高めるには、積極的に、ポジティブなことを考えることが有効なようです。
例えば、寝る前に今日一日の良かったこと、楽しかったことなどを考えるんです。
- 朝空気が爽やかだった
- 好きな人と目があった
- 夕日が綺麗だった
こんな些細なことでも、一日の終りにイメージすることでリラックスできるようです。
② 二分化思考(少なすぎる判断基準、勝ち負け思考)
物事を「失敗か成功か」「◯か✕か」で判断する考え方のことです。
例えば、「受験で志望校に受からなかったら終わりだ」とか、「第一志望の企業に受からなかったら人生おしまいだ」とかそんな思考ですね。
こういう極端な思考をしていると、自分にも相手にもハードルを上げすぎてしまい、ストレスが高まる上、うまく行かなかったときのダメージがデカイですよね。
人の価値がそんな単純な2択で決まるわけないですもんね。
③「当然」「べき」「ねばならない」思考
例えば、「これだけ勉強したんだから、このぐらい点数が取れて当然」などですね。あるいは「常識」と言われるやつもこのたぐいかもしれません。
「こうじゃないとダメ」というふうに頑固に考えすぎていると、思いどりに行かなかったときに、これまた精神的にダメージ大です。
レジリエンスを高める思考法としては、①とおおむね同じです。
考え方を変えれば、「あたりまえ、当然」なこともポジティブに捉えることができますよね。
「誰かに何かをしてもらって当たり前」と考えるのではなく、それ自体に感謝することが大切です。
④ 過剰な一般化
これは、「公式やマニュアルのように、物事を画一的に捉えてしまう」思考です。学生時代の勉強では、公式に則ってやれば基本的には良い点取れますし、評価も相応にしてもらえます。
でも、実社会はマニュアル通りには行きませんよね。結局社会は人と人とのコミュニケーションで成り立っているので、その場その場に合わせた柔軟な対応が求められます。
ある人物の一面だけを見て、「この人はこういう人だろう」と決めつける考え方だと、人間関係がギクシャクしてしまいますね。
⑤ 結論の飛躍
本書で挙げられている例としては、「中学校一年生のときに担任の先生が私に心ない発言をしたせいで、私はこんなに臆病な性格になってしまった」というものです。
そんなに短絡的に結びつけられるものではないですよね。でも、被害者意識が強い人ほど、結論が飛躍してしまいます。
あまりに、極端だと、自分を責めすぎて苦しくなってしまいますよね。。
④と⑤への対策としては、なんと言っても「選択肢を増やすこと」です。
物事に対して短絡的に考えるのではなく、違った見方ができれば、気持ちを鎮められるかもしれません。一番いいのは本を読んだり、身近な人に相談してみることだそうです。
僕も一時期精神的に参っていましたが、友達に相談したところ、思わぬ助言(視点)をもらえて、とても気が楽になったことがあります。
⑥ 劣等比較
これは、「自分より優れている人との比較」のことです。他人のある優れた側面ばかりを見て「自分はまだまだダメだ」と考えてしまうわけです。
もちろん、これは努力の源なので、良い側面もありますが、過度に自分を追い込みすぎてしまい、疲弊してしまう可能性があります。世の中には自分より優れた人なんて死ぬほどたくさんいますからね。。
自分の「足りない部分」ではなく、「恵まれている部分」に目を向けたいところです。
⑦ 他者評価の全面的受け入れ
他者からの評価を真に受けすぎても疲弊してしまいます。
最近SNSなんかで誹謗中傷とか、耳が痛い発言で芸能人が命を断ってしまうケースも有りましたが、あれももしかしたら、「真に受けすぎて」いることも一因かもしれませんね。
中には、「人からなんと言われようが全く気にしない!」という人がいますが(個人的にはすごく羨ましい)、そういう人は落ち込むなんてこととは無縁かもしれません。
とはいえ、大事なのは、他人からの評価をうまく取捨選択することが大事です。人の意見を聞いて自己改善することも大事ですからね…!
①〜⑦の根底に存在する共通の考え方
ここまで取り上げた①〜⑦に通底する考え方、それは「完璧主義」だと筆者は言います。
こういう人は、マイナス面ばかりに目が行き(①否定的側面の拡大)、勝ちか負けかで判断し(②二分化思考)、物事はこうあるべき(③べき思考)と考え、失敗は死に値する(④過剰な一般化、⑤結論の飛躍)という思考になります。
さらに、一度成功してもなかなか満足できません(⑥劣等比較)。また、みんなからいい評価を得ようとしてしまいます(⑦他者評価の全面的受け入れ)。
これはなかなか危険な考え方かもしれませんね。ちなみに僕は完全に当てはまっています…。
ここで筆者が提案しているのが、「最善主義」という考え方です。
「様々な制約のある不公平で理不尽な現実を素直に受け入れ、そんな状況の中で、ベストを尽くそう」という現実的かつ合理的な考え方です。
最初から完璧を目指すのは困難なんです、そもそも。なので、落ち込まずに、今できるベストを尽くせばOKってことです。
また「失敗しても大丈夫だ」という安心感が大事なんだそうです。
そう言えばあの「ひろゆき氏」も「面接で緊張しない方法はありますか?」と聞かれた際、次のように答えていました。
「失敗する前提で挑んでください」
こうやって自分でぐっとハードル下げることで、だいぶ気が楽になりますよね。僕らはちょっと自らを追い込みすぎているのかもしれません。
レジリエンスを高める処方箋の例
さて本書の後半では、具体的に著者のカウンセラーとしての経験から、患者さんの例を示しながら、それぞれの症状に対する具体的な「処方箋」が紹介されています。
ここでは1つだけとりあげます。
症状:常に「不安」か「後悔」か「比較」に心を奪われていて「今」に目を向けることができない。
常に未来や過去に気を取られて頭がいっぱい、脳がマルチタスク状態の患者さんです。
この症状には「マインドフルネス」が有効です。簡単に言うと瞑想(呼吸法)のことです。
1息を吸ったら2倍の時間を欠けて息を吐きます。息を吐いているときは副交感神経が優位になり、リラックスできるんだとか。
また、呼吸そのものに集中します。雑念が浮かんできても、だだ雲を眺めるように、やり過ごしましょう。
詳しいやり方は本書に記載があります。また以下の記事もよろしければ。
まとめ
さて、今回は「レジリエンス入門-折れない心のつくり方」について、個人的見解も含めながらご紹介しました。結局の所、柔軟な思考を持つことが、レジリエンスを高めるのにもっとも有効だということですね。
とはいえ、簡単にはできないので、以下のように日頃からできそうなことを実践して、レジリエンスを鍛えたいところですね。
- マインドフルネス
- 当たり前に感謝する
- ポジティブな側面を積極的に見つける
- 失敗してもOK(最善主義)という考え方
- 人と話したり、本を読んで、視点を広げる
本記事を読んだ方の助けになれば幸いです。ではまた。
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